野球脳パパのテニス雑記帳

10年間息子のジュニアテニスに寄り添ってきた父の目線でテニスについて思ったことを書いています。ジュニアテニスでお困りの時は記事検索してみてください。

【コートの記憶】第2セット:テニスをやってみたい

レゴが3年生になる前の春休み。

 

春休みの間、レゴはいくつかの少年野球チームの体験入部に参加した。

小さい頃から私と一緒に練習してきたバッティングは、すでにチームに所属している子たちと比べても遜色なかった。

右投げ左打ちという点も高く評価され、監督やコーチからは積極的に勧誘された。

 

どのチームに入れようか、私は迷いながらもその悩みを楽しんでいた。

「どのチームに入りたい?」

私がそう尋ねると、レゴは少し間をおいてからこう言った。

「野球もいいんだけど、他にやってみたいものがある」

意外な答えだった。てっきり近所や学校で流行っているサッカーだと思っていたからだ。

 

「何がやりたいの?」

 

「テニス」

 

驚きつつ理由を聞くと、近所の元プロテニス選手のママさん一家と一緒に遊びでやったテニスが、とても面白かったのだという。

 

「じゃあ、一度テニスクラブの体験に行ってみようか」

 

正直、一度体験すれば気が済むだろうと思っていた。

ネットで調べると、車で15分ほどの場所にいくつかのテニスクラブがあった。

元プロのママさんに相談すると、とても喜んでくれて、あるテニスクラブを勧めてくれた。

彼女も通っていて、ジュニアレッスンが充実しており、ヘッドコーチもよく知っている人らしい。

 

ホームページを見ると、「体験無料」「ラケット貸出あり」と書いてあった。

 

—— じゃあ、ちょっと行ってみるか。

 

そんな軽い気持ちで申し込んだ。

 

体験当日。

 

私はテニスクラブに入るのは初めてだった。

緑色のハードコートが目の前に広がる。

河川敷や学校のデコボコの土のコートは見慣れていたが、こんなにきれいなコートは初めてだった。

面数は多くないが、手入れが行き届いていて清々しい。

 

受付を済ませると、少し年配の女性コーチが迎えに来てくれた。

 

「レゴ君だね。今日は一緒に楽しくテニスをやろうね」

 

レゴはクラブで借りた21インチのラケットを手に、笑顔でコートに入っていった。

 

 

その時の、ラケットを握った笑顔を——私は今でもはっきり覚えている。